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4月10日、DeNA対広島(横浜スタジアム)で、記録にこそ残らなかったものの、マズい守備でチームの足を引っ張ったラミレス(DeNA)に対し、中畑監督は「ラミレスの守備はド素人」と痛烈に批判した。ルーキー・井納が好投し、1対0とリードして迎えた6回1死。左翼への平凡な飛球に滑り込んだラミレスは、捕球に失敗。記録は二塁打となったが、この凡ミスをきっかけに、逆転され、1対5で敗戦。井納のプロ初勝利もお預けとなった。
通常の監督であれば、2千本安打を打つほどの大選手への批判は慎むもの。そのウラには、『プライドに配慮する』という面もあれば、『単にいいづらい』という事実も見逃せない。
だが、中畑監督は容赦なく、「ド素人」とラミレスの守備を切り捨て、「明日は2、3打席で(途中交代させるか)判断したい」と言い放った。
すると翌日、ラミレスは1打席目にヒット、4回ウラの2打席目には先制2点タイムリーを放ち、見事に汚名返上を果たした。
中畑監督は3対0の5回表からラミレスを下げる大胆な采配を敢行。チームはラミレスの代わりに入った金城のタイムリーなどもあり、6対2で連敗をストップさせた。会社の上司に「なんで俺には少しのミスでうるさく注意するくせに、アイツには何も言わないんだ」と不満を抱く部下は、数え切れないほどいるだろう。
そして、現に『言いやすい部下にだけ叱る上司』は後を絶たない。
だが、中畑監督は違う。
「主力だから」と変に選手に気を使ってしまう指揮官が多くを占めるなか、中畑監督の発言は「誰だろうと甘えは許さない」という一貫性が見える。
昨年8月には、首脳陣から「いつ盗塁してもいい」と指示されている内村に対し、「俺が打つときになんで動くんだ」と激怒した中村ノリを2軍落ちさせている。
その選手が主力だろうと、ダメなプレーはダメと叱る。叱られた選手は素直に反省し、結果を残すために邁進する。
中畑監督とラミレスのあいだには、本来あるべき関係がキチンと存在する。
「ラミレスの守備はド素人」発言でチーム内に「あのラミレスにも容赦ないんだ」と公平感を与えた中畑監督、その叱咤を素直に受け止めすぐに結果を残すラミレス。
2人とも、あっぱれなプロフェッショナルである。