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欽ちゃんの部下育成法がスゴい 会社なら余裕でパワハラレベル!

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先日放送された『もてもてナインティナイン 日本が誇る大スターの素顔SP! 今では当たり前のアレ...実は私が作りました』(TBS系)では、現在のバラエティ番組の源流を形作った、欽ちゃんこと萩本欽一(71)が大々的に特集された。萩本は、関根勤や小堺一機など"欽ちゃんファミリー"と呼ばれる数々のタレントを世に送り出したことで知られるが、構成作家などの裏方も多数育て上げている。その一人が、『踊る大捜査線』『心はロンリー気持ちは「...」』などの脚本家として知られる君塚良一(54)だ。



大学卒業後、萩本の放送作家集団『パジャマ党』に所属した君塚は、欽ちゃんの常軌を逸した育成法のもと、大作家に駆け上がった。萩本の著書『まだ運はあるか』(大和書房、1999年発売)には、こう書かれている(以下、引用文)

作家の君塚は十年かかりましたからね。今、大作家ですよ。前に言ったように、お笑いを倒すのはドラマかニュース。で、僕はニュースのために受験勉強して言葉を勉強し、ドラマは作家を作ろうとしたんです。それが君塚。僕、言ったの、「いよいよドラマやるぞー」って。「本当ですか?」って聞くから、「本当だ。でもドラマってどうやって作るか知ってるかい? 『来週の脚本がないです』とか『ここ直します』とか、グチュグチュやってちゃダメなんだよ。もう最初から書いておいて、念入りに打合せして、そっから一気にやる。そういうねぇ、余裕のある番組作りをしないといけないんだよ。半年だろう? 半年って何本だ、二十三本かな。初めに全部書いちゃうのがいいんだよ。俺、やるゾ、ドラマを」って。

今と違い、当時の連続ドラマは基本的に半年かけて放送されていた。ヒット番組を作り続ける師匠・萩本にこう言われ、君塚も素直に従った。
そしたら、「大将、書き上げました!」って持ってきたんだよ、二十三本分。だから言ったの、「な、こうやって勉強するんだよ、お前」って。あいつ、ひっくり返りましたよ。「無いんですか、番組?」って、ヘナヘナになって言うから、「無いよ。こうやって勉強だよ」と。そしたら、「そりゃないですよ。死に物狂いで書いたんですよ」「こういうのが勉強だよ」「そんな......」。だから最後に言いましたね、「こういうのをギャグと言う」って。年中やってましたから、無題に書いて。可哀相になぁ。

君塚にとっては堪らなかっただろうが、究極のトレーニングとなったことは間違いない。何ら成果を残していない会社の上司がこんな指令をしたら、ただのパワハラだと非難されるだろう。しかし、萩本欽一には誰にも負けない努力の積み重ねと実績があった。「欽ちゃんの言う通りに、信じてやれば、俺もモノになるかもしれない」と希望を抱かせるだけの裏打ちがあったのだ。

ですから、そういう"萩本欽一との物語"をたくさん持ってるということが、今となっては笑えるということ。楽しい思い出なんて作る必要ない。でも、やっぱり人間として感動するとかね、ある小さな幸せっていうのだけはサ......。だから、みんな泣いてますよ、僕の所から育っていったヤツは。

栄光のウラに、知られざる壮絶な努力あり。結果を残している人間は、間違いなく千本ノック並みの凄まじい練習をしているのである。(岡野誠)

 

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