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ヴェネツィア国際映画祭、国際映画批評家連盟賞を受賞するなど世界的に非常に高い評価を得た『Shame-シェイム』(マイケル・ファスベンダー、キャリー・マリガン主演)で一躍注目を集めることとなった気鋭の映像作家スティーヴ・マックイーン。アート誌<Art Review>が選ぶ注目すべきアーティスト "Power 100" に選出されたことが展示会開催のきっかけで、彼のレトロスペクティヴ展がシカゴ美術館(Art Institute of Chicago)で開催されることになった。今年公開、セックス依存症の男性の葛藤を描いた『Shame-シェイム』の姉妹作である『Hunger』(2008年)では、1981年のアイルランドに住むハンガー・ストライキを題材に人間の苦悩や苦痛を描くなど、マックイーンは人間の内面に潜む暴力やエロティシズムを陰影に富んだ映像であぶり出す人物である。
展示ではこの2作とともに、アフリカ系アメリカ人歌手/活動家ポール・ローブソンの生涯を追った伝記作品『End Credits』、ゴールドスミス大学を卒業後初となる映像作品『Bear』なども上映。光と影を浮かび上がらせるマックイーンの作家性が改めて確認できるだろう。
キュレーターを務めたのはジェームズ・ロンドーという、コンテンポラリー・アートへの確かな審美眼と造詣の深さで信頼されている人物。<The Art Newspaper>のインタビューで同氏は、「我々が住んでいる世界はあまりにも映像とイメージで氾濫している。マックイーンの作品から一貫して感じられるのは、そのスピードを落とすことによって本当の美を享受しよう、という試みである」と語っている。マックイーンの他の作品写真はコチラのページから
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