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テレビに登場する人には「タレント枠」と「文化人枠」があります。「タレント枠」は、芸能人やスポーツ選手のことで、「文化人枠」は情報番組やバラエティ番組によく出てくる教授やジャーナリスト、評論家といった方々のことです。所属事務所を持つ超有名弁護士や教授などは「タレント枠」に入ることもあります。
そんな「文化人枠」ですが、多分、あんまりおいしい仕事ではないですよ。というのも、拘束時間や打ち合わせの時間が長い割には報酬が良くないんですよね。尾木ママや渡部陽一さん、本村健太郎弁護士、テレビ向きの方々は圧倒的な知名度を獲得する良いきっかけになり、その後タレント枠になることができる場合は別です。しかし、文化人枠の人は一回出たらおしまい、ということが多いです。
というのも、やっぱり専門的なことを的確に言うということ以外に、テレビの場合は「画になる」ことが重要なのですね。あとはトークの上手さ。なんとか面白いキャラクターを引き出し、何らかのトレードマークをつけることが必要なのです。前述の尾木ママでいえば、オネエ系の喋り方、渡部さんは遅すぎる喋り方、本村弁護士は山崎邦正に似ている点や、キレ芸などでしょうか。
彼らは元々タレント性があった方々で、その後テレビを最大限利用することが可能になります。自著を売るにあたっての告知ツールにもなりますし、各所で呼ばれると当然ギャラも上がっていく。
さて、一般的な「文化人枠」の話に戻ります。ギャラは1回の出演で3万円か5万円です。「1時間番組で3万円だったらいいじゃないか!」という声があがってきそうですが、かける時間はそれだけではありません。情報番組のコメンテーターでしたら、当日のオンエア2~3時間ほど前に来て、スタッフ打ち合わせをする必要があります。バラエティ番組であれば、企画の大枠が決まった段階(収録の数週間前)で打ち合わせをし、どんな要素を入れられるかを1~2時間ほど打ち合わせします。
その後、フリップ作成などの監修も行いますし、台本も事前にチェックし、おかしな言い回しがないかなどをチェックします。さらには、「○○に関する事例を10個ほど用意してもらえないか」と依頼をされ、リサーチャー的な仕事をすることもあります。場合によってはもう一度打ち合わせをすることもあります。そして収録当日ですが、テレビ局への往復の移動時間に加え、スタジオ収録と合わせて3~4時間は拘束されます。
となれば、3万円を稼ぐために合計10時間ほどかかることもあるわけで、何らかの専門分野がある人に対する人件費としては決して割高とは言えないのです。
文/中川淳一郎(編集者)
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