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最初に思い立ったときの純真な気持ちを表す「初心」。かのスティーブ・ジョブズ氏も「仏教には初心という言葉がある。初心を持つのはすばらしいことだ」という言葉を残しています。
ビジネスの世界で「初心」とは、顧客視点や素人目線になることでしょう。キャリアを積んで管理職やスペシャリストになるにつれ、初心というものを忘れがちになってしまいます。
日本では「初心忘るべからず」といった言葉があります。この言葉を最初に使ったのは、室町初期の能楽師、世阿弥だといわれています。しかし、能芸論書『花鏡』のなかで使った初心と現代の初心では少し意味合いが異なると、書籍『仕事に活きる禅の言葉』のなかで指摘されています。
日本能楽会会長の野村四郎氏によると、「みなさんは初心というと若かりしころの志を思い浮かべるでしょうが、長い人生はそのときどきに初心があるものです。もちろん老後には老後の初心があります。若いころにくらべて足腰が思うように動かなくなったと思ったなら、まだ動かせるところをそれまで以上に動かして舞えばいい。そのときそのときで自分の才能や可能性をすべて使いきるということが、すなわち初心なのです」とのこと。
『花鏡』に残された「初心」とは以下のもの。
・是非初心不可忘(是非とも初心忘るべからず)
・時々初心不可忘(時々の初心忘るべからず)
・老後初心不可忘(老後の初心忘るべからず)
是非初心不可忘は、現代でも使われる、「修行を始めたころの良いところも悪いところも忘れてはいけない」という意味。時々初心不可忘は、「修行の段階ごとの初心を忘れてはいけない」という意味。そして、老後初心不可忘は、「老いて円熟期に入ったとしても、その時期ごとに初心があるので、その初心を忘れてはいけない」という意味です。
スティーブ・ジョブズをはじめ、稲盛和夫氏、イチロー、フィル・ジャクソンなど、禅に惹かれた成功者はたくさんいます。新しい年を迎えるこの時期に、一度自分にとっての"初心"を思い出してみてはいかがでしょうか。
【書籍データ】
・『仕事に活きる禅の言葉』島津清彦著 サンマーク出版
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