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私たちが知る「お笑い芸人」は基本的にはテレビに出て、大金を稼ぐ人気者、というイメージがあります。しかし、売れている芸人はほんの僅かで、ほとんどはバイトに精を出す方々です。
これまで編集者である私は、なぜか何人ものお笑い芸人と付き合ってきました。理由は、彼らのネタ作りの才能や、普段からの特異な経験を基にしたライター業務をお願いしたかったからです。時給の安いバイトをするよりは、もう少しはお金を払えるライター業務をしてもらった方が、ネタ作りの時間を作れたりするのかな、といった期待ももちろん持っていました。
そこで一緒に仕事をした多くの芸人は、良い文章を書いてくれていました。で、驚くべきことなのですが......、今までライターをお願いした芸人の方々は多分20人くらいはいると思います。その中で不快な気持ちを抱いた人は1人しかいないのです。
通常、仕事をしていると不快な思いをする相手はまぁ、30%くらいはいるのではないでしょうか。でも、芸人の場合は5%しかいません。
そこで思うのは、彼らが生活に困っているが故に、カネをくれる人に対しては徹底的に真摯に対応したいと考えていたということです。この「徹底的」というのは、なかなかできることではありません。多少なりとも売れているライターに仕事を発注するよりも、締め切りを守るし、修正依頼もきちんとこなしてくれる。
私はこうしたことから「売れていない芸人」に対して絶大なる信頼を抱いております。誰かとは言いませんが、私の仕事をやってくれていたコンビが、とあるデッカいお笑いの賞を取りました。
本当に嬉しかったです。彼らの大活躍を期待します。
この話が一般の方に何が役立つかといえば、「常に謙虚であれ」ということですね。彼らのような才能を持った人間が、バイトに毛が生えたような作業をやり続けてくれたわけですよ。その間、常にメールの対応も丁寧でしたし、こちらがギャラの振込をしたら感謝してくれる。
若手お笑い芸人は、こうした経験をしているんです。ビジネスマンが体得すべきスキルを彼らは持っていると私は思います。
文/中川淳一郎
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