最後の人類が乗った箱舟列車の乗客たちのドラマを描く近未来SFエンターテインメント『スノーピアサー』のポン・ジュノ監督が、自身の映像作家としての基本哲学は"体感的なリアル"にこそあって、ソコを追求する自分自身のことを"変態なる証明"と謙遜した。
フランスのコミック「LE TRANSPERCENEIGE」を原作に、韓国の鬼才ポン・ジュノが放出する問題作。2031年、氷河期の地球を舞台に、箱舟列車"スノーピアサー"は、氷の世界を1年に1周の速度で回り続ける。そして、列車の最後尾にいる貧困層が、クーデターを起こして列車を乗っ取ることを企てるという説明を聞いているだけでゾクゾクする物語だ。
プロデューサーは、パク・チャヌク監督。『渇き』(09)のPRで来日した際、本作の話題で盛り上がったが、チャヌクの性格や嗜好を鑑みれば、「無理もないこと(笑)」と韓国の奇才は笑う。「彼はもともと、自分でSFを撮りたがっていました。その時のインタビューの様子が目に浮かぶようですが(笑)。映画化にあたっては、全力でサポートを受けました」。
チャヌクの支援を受け、ポン・ジュノ監督は思う存分、異才を発揮した。激走する列車というファンタジックな状況ながら、リアルなディテールを幾重にも積み重ね、その結果、人間描写や情景描写は極限までリアリティーを帯びた。「抽象的な概念やメッセージが含まれている作品ですが、僕は肉体的な作品にしたかった。観ている人が体で痛みを感じることが重要で、まさしく列車のような狭い空間で人間同士が激突するようなイメージですね」。
たとえば、腕を列車の外に出して凍らせるシーン。「スーツを着た人たちが腕を戻した時に、スプーンでトントン叩く(笑)。その音を観客は聞くことになるけれど、そこですよ! 要は――いや、演出としては要らないかもしれないので、自分は変態だと思いますが(笑)。僕は体で観る映画が好みなのです(笑)。(スプーンでトントン叩くことは、)自分自身の変態なる証明だと思いますが(笑)」と謙遜する。
しかし、このシーンを観た誰もが、異常な世界で進行中のストーリーであることを耳で思い知る。これもポン・ジュノ監督の映画だ。
そしてポン・ジュノ監督が構築するリアル感は、もっとも主人公像に出ている。それは今までの映画で表現したことであると同時に、『スノーピアサー』も間違いなく該当する。
「スーパーヒーローが物事を解決しても、全然面白くないですよね。ドラマとしては、味気ないものです。僕が目指すことは正反対のことで、たとえばおバカな刑事が事件を解決に導くとか、メチャクチャな大家族がモンスターと戦うほうがよっぽどいい(笑)。さして能力のない者たちが、もがきながらミッションを遂行してくほうが、観ている多くの人の共感を集めると思います。なぜならば、それって実際のわたしたちの姿なのですから(笑)」。
映画『スノーピアサー』は、2014年2月7日(金)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
『スノーピアサー』は全国大ヒット上映中
【参照リンク】
・『スノーピアサー』公式サイト
http://www.snowpiercer.jp/
・『スノーピアサー』特集
http://news.aol.jp/special/snowpiercer/
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