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告白します。一昨年まで15年間サラリーマンをやっていましたが、理想の上司像は、ずっと『機動警察パトレイバー』の後藤隊長でした!
後藤喜一(ごとう・きいち)。警視庁警備部特科車両二課第二小隊長。独身。推定40代前半。かつて本庁で「カミソリ後藤」と呼ばれた相当な切れ者だったが、組織に煙たがられた結果、今では埋立地にある第二小隊に飛ばされた中間管理職。普段は無気力な中年を装うが、実は図抜けた実力者にして現代の大石内蔵助である――。
というわけで、後藤隊長の名言を拾ってみました。カッコ内は少年サンデーコミックス版の登場巻・ページです。
「助言はしてやれ。手助けはするな」(1巻、p123)
もう、この一言に後藤イズムが集約されています。説明不要。額に入れて床の間に飾れるレベル。声に出して言いたいビジネス格言です。
「みんなで幸せになろうよ」(1巻、p147)
「俺は中間管理職だが、上の意向に無批判に従う気はない。お前たち部下といっしょにヤンチャする気まんまんだぜ」という気持ちが現れた、名言中の名言。いたずらっぽく共犯を持ちかけられた部下は、イチコロです。
「逃げた恋人に気を取られていると......目の前のいい男を釣りそこなうぞ」(9巻、p137)
これは、仕事の優先順位を間違えて突っ走りそうになっている部下をいさめる言葉です。うまい。座布団1枚。
「子供の夢ってさあ(中略)、基本的には『運転手さん』になりたいんだよな。そういうのが、資本家の夢とだんだん噛み合わなくなっていくんだ」(11巻、p151)
新入社員の頃、現場で仕事に就けたときのシンプルな喜びは、一体どこに消えてしまったのでしょうか。資本主義社会において、企業で働くとはどういうことか? 隊長、今夜一杯つきあってください!
「よく見極めてから穴を開けないと、どっちに向かって決壊するかわかんないよ」(12巻、p144)
Twitter等で「とにかく行動しろ」的な煽りに励んでいるビジネス啓発系botに、思わずコピペしてリプ投げたくなる、会心の一言です。
「自分の仕事の重みを低俗週刊誌の記事なんかに惑わされて安っぽくしちゃいけないよ」(13巻p119)
「低俗週刊誌」は別のものにも置き換えられます。意地悪なクソ取引先、性格の悪いクソ同期、クソ世論――。やってる仕事に誇りを持て。胸を張れ。安っぽいかどうかはてめえで決めろ。よく知りもしない他人に決めさせんじゃねえ、この野郎!(なぜかヤンキー口調)
「おれが? なにをしてやれるっていうの? 若者は自分の力で立ち直らなくちゃあ」(15巻、p119)
でもね、わかってるんです。隊長、裏で部下のためにちゃんと動いてるんですよね。ネット的なアレで言うなら「わしが育てた」とか死んでも口にしないんですよね。超カッコいいす。
「課長。自分の部下は三度も同じ相手にコケにされるほどボンクラ揃いじゃありません!」(16巻、p24)
これです、これ! 普段は低体温の隊長なのに、ここ一番で、しかも部下がいないところで、自分の上司に向かって部下を超絶アゲ。この断言、震える。最高。泣きそうだぜ......。
いかがでしたでしょうか。『機動警察パトレイバー』のマンガ連載は1988年から1994年。当時夢中で読んでいた少年たちは今、作中の後藤隊長と同じアラフォー世代です。あなたは、後藤隊長のような上司になれましたか?
(稲田豊史)
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