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「十数年前と比べると、新入生の実態として『生徒の幼稚化』が一層進んでいるように感じる」
これはベネッセ教育総合研究所がまとめた、近年の生徒指導からみた学生の特徴です。気に入ったものをなんでも「かわいい」と、一言でまとめてしまう若い世代。そんな彼らに一言言いたくなる大人は多いもの。しかし、この「幼稚化」は、何も学生だけのものではないようです。
「政治家の言葉も幼稚化している」と指摘するのは、書籍『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』の著者で芥川賞作家でもある藤原智美氏。
その特徴の一つに、「がんがん」「どんどん」といったオノマトペ(擬態語や擬音語)の多用があります。大阪大学の秋田喜美氏は、国会議員が議事のなかでオノマトペをどれほど使っているかを調査しています。それによると、1990年に約14,000回だった使用は、現在では約38,000回に。なんと3倍近くオノマトペが増えているのです。
オノマトペはいわゆる話し言葉。情感や気分に訴えかけるこの言葉は、赤ん坊や幼児に話しかけるときに好んで使われるもの。小説の世界では、完成度の低い言葉という判断がされるので、こういった言葉はなるべくさけ、別の表現を考えるのが常識となっています。
しかし、政治家はそうではないのです。多くのオノマトペを聞くようになりました。その理由を藤原氏はこう分析しています。
「政治、政策的な言辞にふくまれるオノマトペを別の表現にしようとすると、気分だけで話を押しきる非知性的な態度はとれないからです。また抽象的ではなく具体性も求められます。たとえば、『がんがん』というオノマトペをやめると、それはどの程度積極的なものか、もう少し説明しなければなりません」
つまり、便利な言葉としてオノマトペは採用されているようです。確かに「がんがん」について説明するのは難しい気も。とはいえ、いい大人がそんな言葉ばかり使っていると、「信用できない大人だな」と思われても仕方ありません。
世の中の幼稚化が進む現代ではありますが、その流れに「がんがん」乗っていると、失うものもあるのではないでしょうか。いい大人の皆さん、言葉遣いには気をつけて生活しましょう。
【書籍データ】
・『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』藤原智美著 文藝春秋
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