イギリスにはパブがあるように、フランスにはカフェがあります。また、ドイツにはビアホール、イタリアにはバール、スペインにはバル、アメリカにはスナックバー......、世界を見渡すと、それぞれ気軽に足を運べる酒場文化があります。
では、日本はというと、"赤提灯が目印となる居酒屋"が、それに近しい文化になるのではないでしょうか。赤提灯系の居酒屋はレストランとは違い、一人でも気軽に入ることができて、料金も良心的。予約もいらないし、個室もありません。
そんな居酒屋は「銭湯に似ている」と語るのは、居酒屋・旅関連の著書を多数出し、"居酒屋の達人"とも呼ばれる太田和彦氏。書籍『男と女の居酒屋作法』の中で、居酒屋の魅力を銭湯に例えています。
「大勢でも一人でも気楽に入れ、予約もいらない。個室や会員制があったらそれは特殊なお風呂だ。人はそこで裸になり、身体のアカを落としてさっぱりする。同様に、居酒屋では精神のアカを落としてさっぱりする。
銭湯では肉体的に裸になる、居酒屋では精神的に裸になる。男女が互いに風呂で裸になるのは簡単ではないが、居酒屋は男も女も一緒に裸になれるところがいい。したがって銭湯に服のまま入ればヘンであるように、居酒屋でいつまでも心を裸にしないのはヘンだ、となる」(『男と女の居酒屋作法』より)
道理で赤提灯系の居酒屋に行くと楽しくなるわけです。私たちは居酒屋で心を裸にして本音で会話を楽しんでいたのです。
太田氏がおすすめする東京の赤提灯系の居酒屋は下記の通り(同書より一部抜粋)。
十条「斎藤酒場」、湯島「シンスケ」、根岸「鍵屋」、恵比寿「さいき」、新宿「池林房」、中野「第二力酒場」、築地「魚竹」など。どこも人・店・味と個性豊かなお店ばかりです。この連休、何もすることがないという人は、銭湯で「体のアカ」を落とし、その足で赤提灯系の居酒屋に向かって「心のアカ」を落としてみてはいかがでしょう。日本を代表する文化でもある「居酒屋」で、新しい出会いが待っているかもしれません。
【photo】
(C)Focus Features 映画「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」大ヒット上映中
【書籍データ】
・『男と女の居酒屋作法』太田和彦著 角川書店
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