Filed under: ムービー, 【連載:シネマ守銭奴】, 映画
新作映画を紹介するコラムとして、本来であれば映画が公開される前に記事を掲載すべきなのですが、当コラムでは、筆者の遅筆ゆえ、掲載が映画の公開された後になってしまうことが多々あります。我ながら大変ふがいないです。そんなふがいない映画コラム・シネマ守銭奴が今回とりあげるのが『ふがいない僕は空を見た』。この作品ももう既に公開されてしまっております。全くもってふがいないですが、今後ともよろしくお願いします。「田畑智子さんのもち肌に 1,000円!」
映画は最初のシーンが退屈だとなかなかお話に集中できないものですが、本作はのっけからエロいシーンなので一気に集中できました。しかもそのエロシーンが"主婦と高校生がアニメのコスプレで情事に耽る"という一風変わったシチュエーションなので、「何これ!?エロいし面白い!」とぐいぐい話に引き込まれました。そして一見お色気ラブコメ風に始まりつつも、物語は次第に痛々しく息苦しい内容に転じていきます。「ふがいない僕」とタイトルにありますが、ふがいないのは「僕」一人ではなく、登場人物ほぼ全員がふがいない思いをしているのです。観ているこちらも「人間って、ふがいねぇなぁ・・・」とため息をついてしまいます。
一男性として特筆すべきは、この映画での田畑智子さんの脱ぎっぷりです。思いもよらぬ大胆な濡れ場に面食らってしまいました。ドキドキしつつも、田畑さんの女優としての本気度と奇麗なもち肌に大変感動してしまった次第です。この映画を観た人なら、男ならずともあのもち肌にいだかれたいと思うはずです。「青春とはかくも残酷で美しいものなのかっ! 1,800円」
映画の後半のあるシーンがとても印象的でした。主人公の友人(窪田正考)と彼のバイト仲間の女の子が、不意に結託してある行動に走るのですが、すごく残酷なことをしているのに、なぜか不思議と美しい光景で、それまでの息苦しいトーンがこの場面で少し解放されたように感じました。青春とは、かくも残酷で美しいものなのだろうか、、、とキザな気分に浸ってしまいました。個人的にはこのシーンだけでも銭を払う価値アリです。
窪田正考さんといえばNHKの「ゲゲゲの女房」の頃から少し気になっていましたが、本作を観て改めていい目つきをした役者だなと思いました。
「姑のクレイジーっぷりに驚愕、自戒も含め 500円」
孫欲しさに田畑智子さんにあらゆるプレッシャーをかけてくるお姑さん(銀粉調)が凄まじかったです。頼むからもうやめてあげて!と何度も思いました。孫を手に入れるためなら人はここまで常軌を逸してしまうものなのかと恐ろしくなりました。最後のほうは完全にモンスターみたいになっていてさすがにちょっとやり過ぎに感じましたが、自分も常々「はやく孫がほしいなぁ」と思っている節があるので(未婚ですが)、将来このクレイジー姑みたいにならないよう気をつけたいものです。
全体的には、見ていて辛くなるシーンが多く息苦しいムードなのですが、ところどころ笑えるところや希望が感じられるところもあり、田畑さんのもち肌含めとても見応えのある作品でした。
そんなわけで、この映画3,300円の価値あり!
「ふがいない僕は空を見た」 ストーリー:『赤い文化住宅の初子』『百万円と苦虫女』のタナダユキ監督が4年振りに窪美澄の小説を映画化。同人誌販売イベントで出会ったアニメ好きの主婦・里美(田畑智子)と高校生の卓巳(永山絢斗)。やがて二人はコスプレをして情事にふける不倫関係に。そんなある日、同級生の女子から告白された卓巳は、里美と別れる決心をするが... 監督: タナダユキ キャスト: 永山絢斗、田畑智子 ほか 上映時間: 142分 2012年/日本 11月17日(土)テアトル新宿他全国ロードショー |
死後
イラストレーター。1977年生まれ、愛知県出身、東京在住。蟹座。 「死後」という使いづらいペンネーム且つ節操のない画風で、雑誌、書籍、CD、web等、様々な媒体で活動中。
主な仕事・・・NHK「おやすみ日本」眠いい昔話コーナー/CD『ほーひ』mmm/書籍『コケはともだち』藤井久子著/雑誌anan、BRUTUS他 ホームページ http://nagaihip.mine.nu/
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