親愛なるオバマ大統領へ今週の海外訪問の幸運を祈る。そして、再選され、アメリカ大統領の2期目を大差で勝ち取ったことにお祝いを申し上げる。
あなたが最初に勝利した4年前、私たちのほとんどが喜びを抑えきれず、あなたの勝利に涙した。今回はむしろ、ほっと安堵のため息をつくようだった。しかし、いつも軽やかなあなたらしく、リンドン・ジョンソン以来、あなたは民主党員として最高の投票率を獲得した。そして、民主党の大統領としてアメリカ史上最も多くの票を獲得した。（1人だけもっと多くの票を獲得した人...それは2008年のあなた自身だ！）あなたは、フランクリン・Ｄ・ルーズベルト以来初めて、2回続けて50%以上の票を獲得した民主党員だ。
本当に歴史的な選挙だった。そこで、私があなたの時間をほんの数分いただいて、あなたの第2期を第1期とは違ったものにしてもらうよう、謹んでお願い申し上げたい。
あなたが何もしなかったという意味ではない。あなたは多くのことを成し遂げた。しかし、いくつかの非常に大きな問題が未解決のままになっている。そして、いいかい、あなたに戦ってもらわなければならない。ウォール街と大富豪は30年以上も血の階級闘争を強いているが、そろそろおしまいにするときだ。
攻撃的になったり挑戦的になったりすることがあなたの性格に反することは分かっている。だけどバラク、どうか「崇高な妥協」や「中道」に動くように（ちなみに、あなたは、今すでに中道だ）勧める専門家たちに耳を貸さないで欲しい。あなたを支持する私たち国民は対話し、その上で、共和党の狂ったイデオロギーを拒否したんだ。私たちはあなたが99%の生活を改善する重大なチェンジを強硬に押し進めることを要求する。期待（HOPE）するのはもうたくさん。本当のチェンジを見せて欲しい。もしもあなたのように素晴らしく優れた人の第2期でこれが実現できないとしたら、一体どうなる？誰がこれ以上好き好んで思い悩むだろう？私たちは落胆し、幻滅し、何もしなくなる。
先週の水曜日、あなたの選挙後初の記者会見、あなたは燃えていたね。あなたが、マケインと会社に対して『タクシードライバー』のセリフ（「俺に言ってんのか？」）を引用した場面は秀逸で、息を飲んだ。この高揚感を味わうためだけに10回以上も再生したほどだ。ああ、あの視線！一瞬、あなたの目からレーザー光線が出ているかと思った。もっとああいうことをやってくれ！！お願いだから！！
前回の選挙の何週間か後に、あなたはお祝いにゴールドマン・サックス君とウォール街ちゃんを経済の担い手として雇った。いい気分を台無しにする最悪の酔い覚ましだった。今回はあんなことはしないで欲しい。今回は残りの私たちすべてのために戦って欲しい。数千万人があなたをサポートするだけでなく、議会が何が起こったのか理解できないほど強大な力となって議会に襲いかかるぞ。（そう、マコーネル、私たちがお前を2014年の退職者リストに載せたからな！）
ただし、まずは私たちがあなたに投票し、あなたにやってもらいたいと思っている仕事をすること。選挙人獲得数で126という大差をつけたのだから、ともかく受け入れ、やって欲しい。
これが私の提案だ。
1. 金持ちを直ちに財政の崖へ追いやる。「財政の崖」は、特別措置を継続させるようにするために保守派と金持ちが発明した作り話だ。12月31日、すべての減税を失効させる。そして1月1日に、市民の98%に対する減税を再請求する。共和党が反対票を投じるというのなら、やってみろ！共和党にはできないし、やらないだろう。支出削減に関して、2011年の合意で共和党はあらゆる国内事業費の削減を望んでいる。すなわちペンダゴン（国防省）の費用も削減されなければならない。ほら、あなたは天才だ！これでは戦争好きの保守派は反対票が入れられない。そして、何かのはずみで反対票を入れたとしても、あなたは私たち多数派が承認したすべてのプログラムを復活させて推進することができる。そして、頼むから、社会保障とメディケア・メディケイド（医療保障）は継続すると名言してくれ。破綻なんかしていないし、そんな危険すら全く無い。もし金持ちが収入に対して私たちと同じ率の社会保障税を払ったとしたら（他のみんなと全く同じことをするだけで）、なんと社会保障制度を少なくとも2080年まで続けられるだけの資金が集まるんだ！
2. すぐにすべての戦争を終える。今や完全に命題（そんなものがあったかどうかもわからない）を失いつつある、アフガニスタンでの戦争をあと2年も続けないで欲しい！これ以上、たった１人でも理由もなく死んでいいだろうか？止めるんだ。あなたは、これが間違っていると分かっているはずだ。ビンラディンは死んで、アルカイダは壊滅し、アフガニスタン人は自分たちの問題を自力で解決しなければならない。それに、あなたがパキスタンや、イエメン、ソマリア、コロンビア、それから神が知る他の場所で使用している無人偵察機とその他の機密軍事活動を終了させて欲しい。あなたは、アメリカが歴史上素晴らしい民主主義国だったと記憶されると思うだろうか？違う。戦争中毒に陥った国だと思われるだろう。アメリカは戦争指揮国と呼ばれるだろう。21世紀、アメリカは石油が必要なあまり、誰であろうと殺したと言われるだろう。あなたは、こうなることを知っているはずだ。止めなければならない。今すぐ。
3. 薬物戦争を終わらせる。これは実にひどい失策であるだけでなく、私たちを奴隷制度の時代に逆戻りさせた。何百万人ものアフリカ系アメリカ人とラテン系アメリカ人をを監禁し、現在、私設の刑務所兼産業施設を建てては一握りの幸運な金持ちに10億ドルも儲けさせている。危害のある薬に対処するには、常識と同情心のこもった他の方法もあったはずだ。アメリカはサディスティックな人種差別主義者の集団のように見える。止めろ。
4. 家の差し押さえと立ち退きの一時停止を宣言する。大手銀行とウォール街の金融会社がゆがんだシステムを制定したせいで、何百万人もの人が家を失う事態に直面している。一旦停止して、例えば家の実際の価値を反映した住宅ローンに組み替えるなど、違った方法を模索する期間として12ヶ月の猶予を与えて欲しい。
5. 政治から金を切り離す。すでにご存知のとおりだ。国民はもううんざりしている。今が行動をおこすときだ。
6. オバマケアを拡大する。あなたのヘルスケアは、まだ誰にでも適用されるものではない。これでは保険業界に無駄に儲けさせてしまう。国が一括で医療費を負担するシステムを進める。全国民に歯科と精神科を含むメディケア（医療保障）を。あなたがこの国の欠損を減らすためにできる最大のことがこれだ。
7. グラス・スティーガル法の復活。レーガン、クリントン、ブッシュがウォール街から解除した厳重な規制をもとに戻さなければならない。さもないと、また別の、さらに大変な事態に直面する可能性がある。金融業界が法律を破ったら、今あなたが内部告発者や医療用のマリファナに対処するような厳しい方法で起訴すること。
8. 学生ローンの負債を減らす。22歳が現実社会に出るときに、すでにバーチャルな借金の監獄に入っている必要はない。こんな残酷なことは他の民主主義国ではあり得ないことだ。あなたが利益をぼったくっている金融業者を排除したのは正しかったが、次は状況を私やあなたが大学生だたころに戻すことだ。教育を受けるコストはなんでもないほど安かった。学費を払うための苦労はもっと軽くていいはずだ。
9. ブラッドリー・マニングを釈放する。アメリカの英雄への迫害と起訴を止めて欲しい。ブッシュとチェイニーは、私たちを戦争に行かせるために嘘をついた。マニングは伝えられるところでは戦犯のファイルをハッキングして、私たちがイラクとアフガニスタンについての事実を知ることができるように、アメリカ国民（と世界）に共有したという。私たちの歴史はこうした、大義のために「法を破る」人に支えられている。軍の情報分析官ブラッドリー・マニングには、刑務所ではなくメダルがふさわしい。
10. 私たちに仕事を依頼する。はっきりしていることがある。上記のどれも、あなたに投票した63,500,000（そして、あなたを支持しているが投票しなかった他4000万）の人を直ちに動かさなければ実現できない。あなた1人では無理だ。この国をまっとうで平和な国にするために、あなたと並んで戦う一般のアメリカ人の軍が必要だ。2008年のキャンペーンでは、あなたはソーシャルメディアを使用した先駆者として選挙に勝った。1,500万人以上の人があなたに携帯の番号やメールアドレスを知らせ、そのおかげであなたは選挙に勝つために今何が必要かをテキストやメールで知らせることができた。それなのに、勝ったらすぐに削除ボタンを押したようだ。あなたからは二度と連絡が来なくなった。（この1年、25ドルでいいから寄付してくれとメッセージを送り続けるようになるまでは。いかにも寄付したくなるね。）誰だか知らないが、インターネットとソーシャルメディア担当の人たちにもホワイトハウスの西棟にオフィスを与えた方がいい。そうすれば、私たちはあなたから連絡がもらえる。絶えず。議案を通したい？私たちにメールしてくれたら動くよ！共和党が議事を妨害している？私たちが止めてあげよう！やつらが、あなたの選んだ国務長官を承認しない？手配しよう！あなたは、地域のまとめ役であったそうだね。どうか、そういう風に振る舞ってみて欲しい。
次の4年は、アメリカの進む道を変える類いの大統領任期になる。あなたは私たちのために立ち上がり、中流を復活させ、貧しい人たちの苦しみを終わらせ、外国からはアメリカを脅威ではなく友人だと思ってもらうことで評価されたいと思っているはずだ。あなたならできる。私たちと一緒に。共和党が邪魔をしても、「Kumbaya」（訳注：黒人霊歌で友愛の歌）を一緒に歌いたいというあなたの気持ちは理解できる。だけど言っても無駄だ。あなたに対する深い憎悪が、アメリカに対する奴らの見せかけの愛情を否定している。そんなやつらに1分でも割いてはいけない。こんな悲しいことになってしまったアメリカを直そう。帰って今月の選挙結果を読むんだ。私たちは、あなたと一緒だ。
P.S.オバマ大統領--私の携帯メールはこの番号に810-522-8398、電子メールはこのアドレスに送って欲しいMMFlint@MichaelMoore.com。私の最初の任務を待っているぞ！
(原文：An Open Letter to President Obama)
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マイケル・ムーア
映画監督
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