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今年の音楽誌ではディランとスプリングスティーンとニール・ヤングの作品が絶賛されていた。もちろんそのことに文句があるわけではなく、ベテランが元気なのは喜ぶべきことだが、今回<Huffington Post Entertainment>では彼ら御大達以外のアーティスト達の素晴らしいナンバーを敢えて取り上げたい。ケンドリック・ラマーは地元コンプトンのギャングカルチャーを、大袈裟にもドラマティックにも見せることなく、見事にありのままを描き出した。フィオナ・アップルは情念溢れるパワフルなカムバックを果たし、テイラーはタブロイド紙の見出しを詩情で満たした。ソランジュはついに偉大な姉ビヨンセの影から抜け出し、ラナは我々全員の神経を逆撫でさせた(よくも悪くも)。
様々なことがあった今年、才能溢れるアーティスト達による印象に残ったナンバー15曲を紹介したい。
ケンドリック・ラマー 「Sing About Me, I'm Dying Of Thirst」 傑出したナンバーがひしめき合うラマーの傑作『good kid, mAAs city』から1曲を選ぶのはかなりの難しいが、あえてそうするならこれだ。スムーズでクラシックなトラックの上でラップされているのは、都市の黒人社会の生と死、自身の人生を全うしようとあがく主人公の姿...。スタイリッシュに聞こえるが、途中不穏な銃弾の音に引き裂かれるシーンも登場。およそ12分に及ぶ大曲であり、まさにヒップホップ・オペラだ。 |
カニエ・ウェスト 「Mercy(ft.プッシャー・T、ビッグ・ショーン・2チェインズ)」 かつては自身の心の傷や弱さをさらけ出す作風だったカニエだが、今年に入ってかなりイメチェンようだ。腕っ節が太くなった彼はゴシップに話題を振りまき、リリックは直接的になった。何よりキム・カーダシアンへのぞっこんぶりを包み隠さず曲にしてしまう程のあけすけっぷりが印象的であった。このナンバーでも猛者達を引き連れふてぶてしいラップを繰り広げている。 |
アイコナ・ポップ 「I Love It」 スウェーデン発、クラブでパーティするのが大好きな女の子達へのアンセム。"アンタは70年代産まれだけど、アタシは90'sのビッチよ"とのラインを聴くと、なんだか諸手を上げて降参するしかないような気分になる。キッズのための音楽だが誰も文句は言えまい。 |
カルヴィン・ハリス 「Sweet Nothing(ft. フローレンス・ウェルチ)」 スコットランド出身DJ、ハリスがフローレンスを迎えて放ったこのナンバー。リアーナの「We Found Love」を手掛けたことで彼はさらに名を広めたが、リアーナとのタッグよりもこちらの方が痛切で破壊力に満ちている。 |
フランク・オーシャン 「Pink Matter(ft.アンドレ3000)」 クラシックなトラックにオーシャンの切実な歌が折り重なるこのナンバー。アンドレが登場するまでの間のエモーショナルなボーカルだけでもあまりに美しい。一聴の価値がある作品。 |
フィオナ・アップル 「Hot Knife」 デビュー以来、彼女のむき出しのエモーションこそがシグネイチャーであり、彼女のアーティスト性であったが、この隙間だらけのトラックの上で彼女はささやき、うなり、吠え、叫び、歌う。彼女の声程、彼女自身をありのままに伝えるツールはないのだ。 |
ソランジュ・ノウルズ 「Losing You」 彼女がビヨンセの妹であることなど今更どうでもいいと思える程素晴らしい1曲。軽快だがエモーショナルなビートに乗って別れの痛みを歌う彼女だが、彼女と別れようとした男がいるのが不思議なくらいに愛らしく、スタイリッシュでかっこいいのだ。 |
ブルーノ・マーズ 「Locked Out Of Heaven」 初期ポリスをひな形にしていることは明らかだが、スティングのフォロワーと早とちりすることなかれ。彼とバンドは曲ごとに様々なアウトフィットを打ち出すトリックスターである。...などといった細かいことは抜きにして、ただただ最高のナンバーであり、最高のリードシングルだ。 |
ゴティエ 「Somebody That I Used To Know」 今年を代表する曲を挙げろと言われてこれを推す人は多いのでは? キャッチーなメロディに工夫の利いたサウンド、新鋭による2012年を代表する大ヒット・ソングである。 |
エンジェル・ヘイズ 「Cleaning The Closet」 虐待(自身、全般ともに)についてオープンにラップしたナンバー。痛ましい内容が容赦なく連射され、聴く者にとっては踏み絵のような作用をもたらす。 |
スターズ 「Hold On When You Get Love And Let Go When You Give It」 カナダのインディ大御所達による、愛についてのマニフェスト。鬱屈したロマンティシズム溢れるナンバーばかり世に送り出して来た彼らだが、このナンバーは希望とダンスに満ちている。アルバム『The North』は間違いなく彼らにとってベスト作だ。 |
テイラー・スウィフト 「We Are Never Ever Going To get Back Together」 曲を書くために恋愛を繰り返しているという半ば悪評のような意見はさておき、彼女は常にジャンルを跨いだソング・ライティングやサウンドで聴く者を飽きさせないと言う意味で真摯である。このナンバーは『Red』からの最もポップな曲で、10代の共感も得られる上にクラブでも盛り上がれるという、全方位なヒットするナンバー。 |
ファン 「Some Nights」 彗星のごとく登場したトリオによる、このナンバーからはフィル・コリンズ、ポール・サイモン、クイーン、アフロビート、T-ペインからの影響すらも伺えるが、そんな指摘も野暮なほど勇壮で豪快な曲だ。 |
ディプロ 「Express Yourself(Feat. Nicky Da B)」 ヒップホップ畑出身だがEDM界で最も興味深いプロデューサーの1人。その影響力はクラブのフロアに留まらず、レイヴ、ポップ・フィールドでも大注目を浴びている。メインストリームに近い場所で最も"ヤバい"トラックを送りだしているのは彼かもしれない。 |
ラナ・デル・レイ 「National Anthem」 エイサップ・ロッキーがJFK役を務めるPVも話題となった。"お金が我々の存在する理由/それは誰もが知っている真実"というラナの下足らずなラップは、まるで今年のオキュパイ運動をなぞるかのような皮肉に満ちている。彼女に対する好き嫌いの意見は散々あるが、"National Anthem(=国歌)"とまで謳われてしまったら、一聴くらいはしなければならない気もする。 |
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