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食料の多くを輸入に頼っている日本がもし、現在の国内農業生産のみで食べていこうとしたらどうなるか? なんと、食卓のメニューは昭和20年代のご飯とイモを中心としたものとなり、カロリーで言うと約2,000カロリーの供給量で現在の北朝鮮やアンゴラなどと同じ水準になるという。
この約2,000カロリーという数字は、国内の農業生産における潜在的な供給能力を示す「食料自給力」から算出したもの。日本がなんらかの有事で緊急事態に陥った時に、日本の農業生産だけでどれだけ食べていけるかの目安となる。
上記の数字は、2月4日に都内で開催された「日本の食と農の現在と未来について」というセミナーで披露された。
現在、世界の人口は71億人で、2050年までには93億人になると予測されており、食料の需要はどんどん増えていく。FAO(国連食糧農業機関)は、2050年までに世界の農業生産を60%増やす必要があると指摘しているが、地球上の農地は限られており、農業地あたりの収穫量の増加は鈍化しているので期待できないという。さらに、地球温暖化や水資源の枯渇などが世界の農産地に与える影響も懸念されているので、世界の食料需給バランスはどんどん不安定になると見られている。
将来にわたって食料の安定供給を確保することは、食料安全保障において重要な問題。しかし、日本の農業の生産力は農家の高齢化や耕作放棄地の拡大などで低下し続けているのが現状。食料が世界的に不足するなどの危機的状況に対応できるよう食料の自給力向上が喫緊の課題となっている。
また、日本の食料自給率は長期的に低下を続けており、先進国の中でも最低レベルとなっている。食料自給率は、国内の食料消費が国産でどの程度まかなわれているかを示す指標であり、現在の日本の食生活の実態がどうなっているかを見る指標となる。
この食料自給率は、主に食料のエネルギー量から自給率を算出する「カロリーベース」と、食料の経済的価値を物差しとする「生産額ベース」を用いて計算される。カロリーベースは、野菜や果物などの低カロリーの農産物が数字に反映されにくいのが特徴。日本の食料自給率はカロリーベースだと最新値(平成24年度)が39%なのに対して、生産額ベースだと68%になる。この差は、日本の高度な生産管理による高品質な野菜や果実、畜産物の生産が生産額ベースに反映されているから。今までは食料自給率を示すときにカロリーベースが用いられることが多かったが、今後は、日本にあった農業の活性化を図るためにも「生産額ベース」もしっかり見据えて、それぞれの数字と意味を比較しながら現状を把握する必要があるという。
食料の安定供給について、平時と緊急時の両方においての確保が必要であり、食料自給率と食料自給力を車の両輪としてその維持向上を図ることが重要だ。
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