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高収入や出世を拒み、マイペースで働く若者たち。
近頃の若手社会人を表す言葉ですが、実際に就職情報会社「毎日コミュニケーションズ」の調査でも、半数近くが「出世したいと思わない」と答えたようです。
とはいえ、半数はそう考えていないのも事実。今の流れを逆手にとって、虎視眈々と出世を狙っている若者もいます。
そんな勢いのある若手社員が気をつけたいのが、「接待」のマナー。
社内外の相手を喜ばせて距離を縮め、その結果として信頼を得るのが接待の目的です。そのため、お店の雰囲気や料理の質といったところに注意している人も多いでしょう。しかし、肝心なのは、「人と人」の部分。そこの意識が薄れてしまっては、意味がありません。
「平社員は、お酒の価格で勝負する
部長は、お酒のうんちくで勝負する
役員は、お酒の飲み方で勝負する」
こうお酒の飲み方を紹介しているのは、書籍『一流役員が実践している仕事の流儀』の著者であり、早稲田大学理工学術院非常勤講師の安田正氏です。役員の飲み方に学ぶべきと、安田氏は接待時での注意事項を同書で紹介しています。
お店で最も高いお酒を用意する。それはあながち間違ってはいませんが、それをゴールにしてしまっては、肝心な「人と人」の部分での評価につながりません。また、うんちくに興味がある人には効果的な会話でも、全ての相手がそうとも限りません。
安田氏が若い頃、ある大手広告代理店を接待していた時のエピソードが紹介されています。大きな契約まであと一歩というところでの接待、安田氏は緊張しながらその場に挑んだそうです。その時、相手から言われたのが、「安田くん、若いのにいい飲み方するねぇ!」の言葉。ちょうど一杯目を飲み終えた時に、「ビールリングのつき方がいいよ。さわやかな飲みっぷりだ」と褒められたのです。
どうやら、グラスに残ったリング状の泡の間隔が、ちょうど良い広さで均等についており、それを見ていた相手方が褒めたのです。遠慮してチビチビと飲んでいたら、そのようなことにはなりませんでした。
お店やうんちくではなく、飲みっぷりという点で評価されたことに驚いた若い日の安田氏ですが、今ではその時の相手方の気持ちがわかるといいます。
「日本酒の飲み方であったり、お箸の使い方だったり、ちょっとした仕草ではありますが、無意識の仕草だからこそ、その人の性格や育ちが如実に現れてくるものです。そしてその仕草によって、周りの人は評価を下します。人の洞察力を過小評価してはいけません」(安田氏)
接待時は緊張するもの。ましてや慣れない若手社員ならなおさらです。高価なお酒に頼ったり、トリビアやうんちくを用意することもあるでしょう。ただ、相手が見ているのは「人と人」のつながりの部分。そこをよく理解した上で、お酒やうんちくを用意すれば、出世が近づくのではないでしょうか。
【書籍データ】
・『一流役員が実践している仕事の流儀』安田正著 クロスメディア・パブリッシング
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